
SNS投稿タイプ別の成果比較|画像・動画・テキストの配分を決める手順
「最近は動画のほうが伸びるらしいよ」 会議でそう言われて、うなずきながらも心の中では少し焦った——そんなことはありませんか。
動画を作るのは時間がかかる。でも、画像の投稿ばかりでいいのかも分からない。カルーセルも、テキストだけのポストも、それぞれ「伸びる」という話を聞く。 結局、自分のアカウントでは何を増やせばいいのかが分からないまま、今週の投稿を作っている。
ここは、ひとりで運用している担当者ほど迷いやすいところです。 世の中の「伸びるタイプ」は、あなたのアカウントでもそうだとは限りません。だからこそ、自社の数字で一度だけ比べてみる価値があります。一緒に順番に整理していきましょう。
結論:投稿タイプの配分は、過去の投稿をタイプ別に並べて、1本あたりの成果と手間を比べれば決められます。
① 分ける:過去2〜3か月の投稿を「画像1枚・カルーセル・動画・テキスト」などのタイプに分ける
② 比べる:タイプごとに「1本あたりの成果」と「1本あたりの制作時間」を出して並べる
③ 決める:役割(新しい人に届ける/保存される/反応をもらう)と手間を見て、来月の配分を少しだけ動かす
いきなり全部を入れ替える必要はありません。1か月だけ配分を少し変えて、また比べる。それで十分です。
何が起きているか:「伸びるタイプ」の話は、自社に当てはまるとは限らない
投稿タイプの話で迷いやすいのには、いくつか理由があります。
- 「伸びる」の意味がばらばら:表示回数(インプレッションや閲覧数)が増えることなのか、保存が増えることなのか、問い合わせにつながることなのか。人によって指している数字が違います。
- 業種やフォロワーによって合うタイプが違う:手順を見せたい商材は、めくって読むカルーセルと相性がいいことがあります。雰囲気を伝えたい商材は、動画が向いていることもあります。他社の成功例が、そのまま自社に当てはまるとは限りません。
- 手間の差が見えていない:動画は1本作るのに、画像の何倍も時間がかかることがあります。成果だけを見て「動画を増やそう」と決めると、運用が回らなくなることもあります。
- プラットフォームの仕様は変わる:どの形式を表示しやすくするかは、各SNSの方針で変わっていきます。去年の「正解」が今も同じとは限りません。
だから、外の情報は参考にとどめて、自分のアカウントの数字で、成果と手間の両方を見るのがいちばん確実です。
投稿タイプ別の成果比較は「分ける・比べる・決める」の3ステップ

ステップ1:分ける|過去の投稿をタイプ別に仕分ける
まず、過去2〜3か月分の投稿を書き出して、タイプごとに分けます。 タイプの分け方は、使っているSNSに合わせて決めて大丈夫です。たとえば次のような分け方があります。
| SNS | タイプの分け方の例 |
|---|---|
| 画像1枚/カルーセル(複数枚をめくる投稿)/リール(縦型のショート動画) | |
| X | テキストのみ/画像つき/動画つき |
| Threads | テキストのみ/画像つき |
| Facebook・LinkedIn | テキストのみ/画像つき/動画つき/リンクつき |
分けるときのコツは3つです。
- タイプは3〜4つまで:細かく分けすぎると、1タイプあたりの本数が少なくなって比べにくくなります。
- 1タイプにつき5本以上あるのが目安:2〜3本だと、たまたま伸びた1本に引っぱられます。少ないタイプは「参考」として扱いましょう。
- キャンペーンや広告を出した投稿は分けておく:特別な後押しがあった投稿は、ふだんの投稿と同じ土俵で比べられません。
数字は、各SNSの分析画面(インサイト)から投稿ごとに書き写します。どこを見ればいいか迷ったら、SNSインサイトの見方|主要SNSの分析画面と数字の読み方も参考にしてください。
ステップ2:比べる|「1本あたりの成果」と「1本あたりの手間」を並べる
次に、タイプごとに数字を並べます。見るのは次の3つです。
- 1本あたりの成果:合計ではなく、本数で割った「1本あたり」で比べます。本数が多いタイプは、合計だけ見ると有利に見えてしまうからです。
- 見る数字は、目的に合わせて1つか2つ:新しい人に知ってほしいならリーチ(届いた人数)や表示回数、役に立つ情報を届けたいなら保存数、ファンとのやりとりを増やしたいならコメント数、というように選びます。迷ったら企業SNSのKPI|フォロワー数より目的別に見る指標の選び方へ。
- 1本あたりの制作時間:だいたいで構いません。「画像1枚なら30分くらい」「動画は撮影と編集で2時間くらい」と、感覚の数字で十分です。
成果を制作時間で割ると、「1時間かけたら、どれくらいの成果が返ってくるか」も見えてきます。ひとりで運用しているなら、ここがとても大事な数字です。
比べるときは、次の点に気をつけると読み違えにくくなります。
- 極端に伸びた1本は、いったん外して見る:話題になった1本があると、そのタイプ全体が良く見えます。外しても傾向が変わらないかを確かめましょう。
- タイプの差か、中身の差かを考える:たとえば「新商品の告知はいつも動画だった」なら、伸びたのは動画だからではなく、新商品だったからかもしれません。
- 同じ時期どうしで比べる:繁忙期と閑散期をまたぐと、タイプとは関係なく数字が動きます。
ステップ3:決める|役割と手間を見て、配分を少しだけ動かす
数字が並んだら、来月の配分を決めます。ここで大事なのは、いちばん成果の良いタイプだけに寄せないことです。
タイプごとに、得意な役割があります。
- 新しい人に届く役割:表示回数やリーチが大きいタイプ。フォロワー以外にも届きやすい。
- 保存・じっくり読まれる役割:保存数が多いタイプ。あとで見返したい情報に向いている。
- 手軽に続けられる役割:成果はそこそこでも、短時間で作れるタイプ。投稿の間を空けないための支えになる。
この3つの役割を見ながら、来月だけ、配分を少し動かすくらいがちょうどいいです。全部を入れ替えると、何が効いたのか分からなくなってしまいます。 1か月たったら、もう一度ステップ2の表を作って比べます。くらべ方をもう少し丁寧にしたいときは、企業SNS投稿のA/Bテスト|1つだけ変えて勝ちパターンを見つけるの進め方も使えます。
具体例:保存を増やしたい日用品メーカーのInstagram
日用品メーカーで、総務と兼務しながらInstagramを担当しているDさん(ひとり運用)の例です。 目的は「使い方を保存してもらい、購入を検討してもらうこと」。そこで、主役の数字を保存数、あわせてリーチも見ることにしました。
過去3か月・36本の投稿をタイプ別に分けると、次のようになりました。
| タイプ | 本数 | 1本あたりリーチ | 1本あたり保存 | 1本あたり制作時間 | 制作1時間あたりの保存 |
|---|---|---|---|---|---|
| 画像1枚 | 15本 | 約800人 | 12件 | 30分 | 24件 |
| カルーセル | 12本 | 約1,100人 | 30件 | 60分 | 30件 |
| リール | 9本 | 約2,400人 | 21件 | 120分 | 約10件 |
(保存の合計は、画像1枚が180件・カルーセルが360件・リールが189件。それぞれ本数で割って1本あたりを出しています)
表を見て、Dさんが気づいたことは3つでした。
- 保存はカルーセルがいちばん多く、手間あたりで見てもいちばん効率がいい。
- リールは保存こそカルーセルに届かないものの、リーチは約2倍。フォロワー以外の人に届く役割を担っていた。
- 画像1枚は、成果は控えめでも30分で作れる。忙しい週の「つなぎ」として助かっていた。
そこでDさんは、月12本の配分を次のように少しだけ動かすことにしました。
| タイプ | これまで(月) | 来月(月) |
|---|---|---|
| 画像1枚 | 5本 | 3本 |
| カルーセル | 4本 | 5本 |
| リール | 3本 | 3本 |
| 合計本数 | 12本 | 11本 |
| 制作時間の合計 | 750分 | 750分 |
制作時間はどちらも750分(約12時間半)で変わりません。これまでの1本あたりの数字が同じだとすると、月の保存は約243件から約249件に。本数を1本減らしても、同じ時間で保存は少し増える見込みです。リールは「新しい人に届く役割」として、本数を据え置きました。
計算はあくまで過去の平均にもとづく見込みで、実際の数字はテーマや時期によって上下します。だからこそ、1か月後にもう一度表を作って確かめます。 Dさんは「動画を増やさなきゃ、という焦りが消えた。何のために動画を作っているのかが分かったから」と話していたそうです。
あなたへの影響
- 「動画を増やすべき?」という問いに、自社の数字で答えられるようになる。
- 成果と手間を一緒に見るので、ひとりでも回る配分を選べる。無理に作業を増やさずに済みます。
- 上司や会議で「なぜこのタイプを増やすのか(減らすのか)」を、表1枚で説明できる。月次の報告にもそのまま使えます(企業SNSの月次レポート|30分で作るテンプレと載せる項目も参考に)。
- タイプごとの役割が分かると、伸びなかった投稿にも意味があったと気づけることがあります。
明日やること
- 主役の数字を1つ決める:リーチ・保存・コメントなど、目的に合う数字を1つ。迷ったら「いま、いちばん増やしたいもの」で選びます。
- 過去2〜3か月の投稿を、タイプ別に書き出す:スプレッドシートに「投稿日・タイプ・主役の数字」の3列を作るだけで始められます。
- タイプごとの「だいたいの制作時間」をメモする:正確でなくて大丈夫です。作業時間をきちんと測ってみたくなったら、SNS運用の作業時間を記録して見直す方法の1週間記録が役に立ちます。
チェックリスト(保存用・投稿タイプ別の成果比較)
全部そろえる必要はありません。まずは上の3つから始めましょう。
まずここだけ(最低ライン)
- 比べる「主役の数字」を1つ決めた
- 過去2〜3か月の投稿を、3〜4つのタイプに分けた
- タイプごとに「1本あたり」の数字を出した(合計だけで比べていない)
できれば(慣れてきたら)
- タイプごとの「1本あたりの制作時間」もメモした
- 極端に伸びた1本を外しても、傾向が変わらないか確かめた
- キャンペーンや広告を出した投稿は、別に分けて見た
- 「タイプの差」か「中身(テーマ)の差」かを考えた
- 各タイプの役割(届く・保存される・続けやすい)を言葉にした
- 来月の配分を「少しだけ」動かし、1か月後にもう一度比べる予定を入れた
最後に、ひとつだけ。 タイプごとの数字を並べてみると、成果の小さいタイプが目について、落ち込むことがあるかもしれません。でも、その投稿があったから、間を空けずに続けてこられた。それも立派な役割です。 いま並べている数字は、あなたがこの数か月、ちゃんと投稿を積み重ねてきた記録です。

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企業SNS運用の実務ヒントを、メールでも少しずつお届けしています。ひとりで抱え込まず、続けられる運用を一緒に作っていきましょう。
「何を増やせばいいか」に、正解をひとつ当てる必要はありません。 自分の数字で比べて、少し動かして、また比べる。その繰り返しで、あなたのアカウントに合う形は見えてきます。 まずは明日、過去の投稿をタイプ別に書き出すところから始めてみましょう。