新商品の発売日が書き込まれたカレンダーを前に、いつ何を投稿すればいいか考えている企業SNS担当者の情景

新商品の発売告知をSNSで組み立てる|前・当日・後の投稿設計

「来月、新商品が出るので、SNSのほうもよろしくね」

会議の終わりぎわに、そう声をかけられる。 発売日は決まっている。でも、写真はまだない。価格も「たぶんこのくらい」で止まっている。

そして手元のカレンダーを見て、少し焦りますよね。 何を、いつ、何本出せばいいのか。そこがいちばん決まっていない。

大丈夫です。発売日の1本にすべてを詰め込む必要はありません。 むしろ、詰め込まないほうがちゃんと届きます。

結論:新商品の告知は、1本ではなく3つの時期に役割を分けて組み立てます。
予告(発売の1〜2週間前)=「もうすぐ何かが出る」と気づいてもらう
発売日=迷いを外す。買える場所まで、情報の抜けをなくす
使い方(発売後2週間くらいまで)=実際に使っている姿を見せて、思い出してもらう
最低ラインはこの3本。余裕があれば予告と発売後を1本ずつ足して5本。それで十分成立します。

何が起きているのか——「発売日の1本」に集中してしまう理由

新商品の告知が難しく感じるのは、企画力の問題ではありません。 発売日という1点にだけ、社内の期待が集まってしまうからです。

資料が出てくるのは発売の直前。価格が確定するのはもっと直前。 だから自然と「発売日に、いい投稿を1本」という形になります。

ただ、その1本に全部を乗せると、こういうことが起きやすくなります。

つまり、悪いのは投稿の出来ではなく配分です。 一度で全部伝えようとするより、何度か出会ってもらうほうが、SNSでは届きます。

そして、これは分けたほうがあなたの作業も軽くなります。1本に全部を詰めるより、役割の決まった短い投稿を3本作るほうが、迷う時間がぐっと減るからです。

全体像:発売の2週間前から、発売後2週間まで

新商品の告知を予告・発売日・使い方の3つの時期に分けて並べた投稿設計の図
告知は1本ではなく3つの役割に分ける。予告で気づいてもらい、発売日で迷いを外し、使い方で思い出してもらう。

日程の目安は、次のくらいで考えておくと動きやすくなります。

時期本数の目安この投稿の役割
発売の1〜2週間前1〜2本もうすぐ出ることに気づいてもらう
発売日1本買える場所まで、迷いを外す
発売後〜2週間1〜3本使っている姿を見せて、思い出してもらう

すべて埋めなくて大丈夫です。予告1・発売日1・使い方1の3本が入っていれば、告知としてはちゃんと成立します。

① 予告(1〜2週間前)——全部は見せない

予告でやることは、商品の説明ではありません。 「もうすぐ何かが出るらしい」と気づいてもらうこと、それだけです。

ここで全部見せてしまうと、発売日の投稿ですることがなくなります。出すのは一点に絞ります。

写真がまだ来ていないときも、進められます。 試作品、資料の一部、社内の会話——手元にあるものから作れば十分です。発売前に社外へ出してよい範囲だけ、事前に開発や営業へ確認しておきましょう。

予告の例文

来週、あたらしい◯◯が出ます。
今回いちばん時間をかけたのは、実は「フタ」でした。
「片手で開けたい」というお声を何度もいただいていた部分です。
詳しくは発売日に。もう少しだけお待ちください。

派手さは要りません。開発の理由がひとつ入っているだけで、予告は役目を果たします。

予告は「必要なら」でも大丈夫

発売がすでに来週で、予告を出す余裕がない——それも普通にあることです。 その場合は無理に差し込まず、発売日と発売後の2本に力を寄せてください。予告は、あると効くもので、なければ失敗というものではありません。

② 発売日——迷いを外す。情報の抜けをなくす

発売日の投稿は、雰囲気より情報の正確さが仕事です。 見た人が「買おうかな」と思ったときに、どこで買えるかが分からないと、そこで止まってしまうからです。

発売日の投稿に入れておきたいのは、次の5つです。

  1. 商品名(正式名称。社内の略称になっていないか)
  2. 価格(消費者向けの価格表示は税込が原則です。「税込◯◯円」と書けるか確認)
  3. 発売日(今日から、なのか。予約なのか)
  4. どこで買えるか(自社サイト/店舗/モール。リンクは必ず動作確認)
  5. 画像(1枚目で何の商品か分かるもの)

いちばん抜けやすいのは、4の買える場所です。 社内では当たり前でも、投稿を見た人は「どこで売っているのか」を知りません。プロフィール欄のリンクを更新しておくのも、この日にやっておくと安心です。

発売日の例文

本日発売です。◯◯(税込◯,◯◯◯円)。
片手で開けられるフタになりました。手がふさがっているときのために作った形です。
オンラインストアと、全国の取扱店でお求めいただけます。
→ (購入ページのURL)

言い切りたくなるところですが、「業界初」「いちばん◯◯」といった表現は、根拠を示せるときだけにしておきましょう。景品表示法では、実際よりも著しく優れていると誤解させる表示や、値引き幅を大きく見せる不適切な二重価格表示が問題になります。ここは広報・法務にひと言確認しておくと、あとが楽になります。判断に迷ったときの観点は 「これ投稿して大丈夫?」を判断する投稿前チェックリスト にまとめています。

③ 発売後(〜2週間)——ここがいちばん効く

意外に思われるかもしれませんが、反応が集まりやすいのは発売日より少しあとです。 発売日は「知る日」、そのあとが「買うか決める日」だからです。

発売後に出せるものは、実はたくさんあります。

このうち「よくある質問」は、いちばん楽で、いちばん喜ばれます。ネタを考える必要がなく、問い合わせの実物があるからです。発売後の3日間に来た質問をメモしておくだけで、その後2週間分の投稿になります。

気をつけたいこと(4つだけ)

1. 数字と仕様は、公式ページと突き合わせる

価格・容量・発売日・対応機種などの数字は、投稿を出す前に商品ページか正式な資料と1対1で見比べます。SNSは修正しても、拡散された内容までは戻せないためです。

2. 発売延期・中止のときの差し替え手順を決めておく

新商品では、直前に日程が動くことがあります。予約投稿を入れている場合は、誰が取り消すのかを先に決めておくと安心です。「担当が休みの日に、予約投稿だけが出てしまった」は、防げるのに起きやすいところです。→ 予約投稿ツールの選び方と使い分け

3. 外部の方に紹介を依頼するときはPR表記を

インフルエンサーやアンバサダーに依頼して投稿してもらう場合、広告であることが分かる表示が必要です。書き方は ステマ規制を踏まえたPR表記のルール にまとめています。

4. 承認にかかる日数を、逆算して押さえる

発売日の投稿は、当日に承認が下りないと出せません。承認に何営業日かかるかを先に確認し、その分だけ前倒しで下書きを回しておきましょう。→ 投稿の承認フローを「速く・崩れない」形にする

あなたへの影響

新商品の告知を任されると、社内の期待が少し大きくなります。 「SNSで話題にしてほしい」と言われることもあると思います。

ここでひとつだけ、先に握っておくと自分の仕事を守れます。 見る数字を、投稿より先に決めておくことです。

売れ行きは、価格・店頭の展開・広告・季節など、いくつもの要素が重なった結果です。SNS単独の成果として切り分けるのは現実的ではありません。ですから、こう伝えておくと話が早くなります。

「売上そのものはSNSだけでは動かせないので、商品ページへのアクセス数と、投稿の保存・シェアの数を見せる形にさせてください」

計測用のリンクを1本用意しておくだけで、報告はかなり作りやすくなります。設定の入口は SNS経由の成果をUTMで計測する基本設定 が参考になります。

そしてもうひとつ。新商品の告知は、他部署とつながるきっかけになります。開発の話を聞きにいく、営業に売れ行きを聞く、問い合わせ窓口から質問をもらう。この動きが、次のネタ集めの通り道になります。→ 他部署からネタを集める依頼テンプレ

明日やること

一度に全部やらなくて大丈夫です。明日はここまでで十分です。

  1. カレンダーに、発売日その1週間前に印をつける(この2つだけ)
  2. 発売日の投稿に必要な5点(名称/税込価格/発売日/買える場所/画像)を、いま埋まっているものと空欄に分ける
  3. 空欄になった項目を、担当部署に1回のメッセージでまとめて聞く
  4. 承認に何営業日かかるかを確認して、下書きを回す日を決める

投稿の文章は、まだ書かなくて大丈夫です。今日は空欄を見つけるところまでで、十分前に進みます。

チェックリスト(保存用・新商品の発売告知)

初回は「発売日に出すとき」の欄だけできれば合格です。 予告と発売後は、2回目以降に少しずつ足していけば大丈夫です。

組み立てるとき

発売日に出すとき

発売後

新商品の告知投稿を予定どおり出し終えて、同僚と一緒に手応えを確かめている企業SNS担当者の情景

新商品の告知は、うまく盛り上げようとするほど手が止まります。でも、見ている人が知りたいのは「すごい新商品かどうか」ではなく、それが自分の暮らしのどこに入るのかだけです。だから、派手さより、抜けのない情報と、使っている姿。それだけで十分に伝わります。発売日を前に段取りを考えはじめた時点で、いちばん大事な準備はもう始まっています。

よければ、こちらも

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