
企業SNSの著作権・肖像権チェック|投稿前に確認したい引用のポイント
投稿しようとした手が、ふと止まる。
「この画像、拾ってきたやつだけど……使って大丈夫かな」 「お客さまが撮ってくれた写真、そのまま載せていいんだっけ」 「BGMにこの曲つけたいけど、これって権利とか大丈夫?」——
ひとりで運用していると、こういう「なんとなく不安」を相談できる相手がいないまま、えいっと投稿してしまうこともありますよね。でも、あとで「実は問題だった」と分かるのが、いちばん怖い。
大丈夫です。著作権・肖像権・引用でつまずきやすい場所は、実はいつも決まっています。「画像・音楽・文章・人の顔」の4か所だけ。ここを投稿前にサッと確認する習慣ができれば、不安はぐっと減ります。むずかしい法律の条文を全部覚える必要はありません。一緒に、見分け方を整理していきましょう。
結論:投稿前に、この一点だけ自分に問いかけます。
「これ、誰かが作ったもの・誰かが写っているものを、許可なく使っていないか?」
① 自分(自社)で作った・撮った → そのまま使ってOK
② 他人が作った・他人が写っている → 「使っていい」と確認できているかをチェック
つまずくのは決まって 画像/音楽/文章の引用/人の顔 の4か所。迷ったら投稿を止めて、その1点だけ確かめる。下に4か所ごとの見分け方とチェックリストをまとめました。
いま、何が起きているのか
SNSは、画像も文章も音楽も、コピー&ペーストで一瞬で使えてしまいます。だからこそ、「使えること」と「使っていいこと」がごちゃ混ぜになりやすいんですね。
基本の考え方は、とてもシンプルです。世の中にあるコンテンツの多くは、誰かが作ったもの。写真にもイラストにも文章にも音楽にも、それを作った人の権利(著作権)があります。そして人が写った写真には、その人の権利(肖像権)があります。だから、他人のものを使うときは「使っていいですよ」という確認が要る——ただそれだけです。
ここで、企業SNSならではの注意点がひとつ。責任を問われるのは、投稿した担当者個人ではなく、多くの場合その会社(アカウントの主体)です。「知らなかった」「よかれと思って」では済まされない立場にいるのが、私たち発信する側なんですね。
とはいえ、これは「怖いから何も使うな」という話ではありません。確認さえ取れれば、堂々と使える。隠れて使うのがいけないだけです。ここを取り違えないでおきましょう。
つまずきやすいのは、この4か所

いろんなケースがありますが、投稿でひっかかる場所は、だいたい次の4つに集まります。ここだけ順番に見ていけば大丈夫です。
- 画像・イラスト・写真素材(拾ってきた画像、フリー素材、他人の投稿画像)
- 音楽・BGM(動画やリールに付ける曲)
- 文章・記事の引用(ニュースや他社投稿の紹介)
- 人の顔・映り込み(お客さま、通行人、社員)
1〜3が「著作権」、4が「肖像権」の話、とざっくり分けて覚えておくと整理しやすいです。では、ひとつずつ見ていきましょう。
それぞれ、どう確認する
一度に全部を完璧にしようとしなくて大丈夫です。まずは、いちばん使う頻度の高いところから。
1. 画像・イラスト・写真素材
いちばん事故が起きやすいのがここです。
- 検索で出てきた画像をそのまま保存して使うのは、原則NGと考えておくのが安全です。「ネットに載っている=自由に使える」ではありません。
- フリー素材サイトの画像でも、利用規約を必ず確認します。「商用利用OK」「クレジット表記が必要」「加工の可否」など、サイトごとにルールが違います。無料でも条件付きのことは多いです。
- 他の人が投稿した画像を自社アカウントで使いたいときは、投稿した本人に許可を取ります(後述のUGC=ユーザー投稿の活用も同じ考え方です)。
- 生成AIで作った画像は、使う前にそのツールの利用規約と、元にした素材がないかを確認しておくと安心です。
迷ったら、「自分(自社)で撮った・作った素材」か「規約で商用利用OKと確認できた素材」だけを使う——このラインを決めておくと、日々の判断がとても楽になります。
2. 音楽・BGM
動画やリールに曲を付けたいとき、ここも見落としがちです。
- 市販の楽曲・CDの音源を勝手に使うのはNGです。「一瞬だけだから」「宣伝になるから」も理由になりません。
- 各SNSには、アプリ内で使える公式の楽曲ライブラリが用意されていることがあります。ただし、個人アカウント向けと企業・ビジネスアカウント向けで使える曲の範囲が違う場合があるので、ここは要注意です。
- 安全に行くなら、商用利用可のロイヤリティフリー音源や、自社で用意した音源を使うのが確実です。
楽曲まわりは仕様の更新が特に頻繁です。使う前に、各SNSの最新の公式ヘルプで「ビジネス利用で使えるか」を確認しておきましょう。
3. 文章・記事の引用
ニュースや他社の投稿を紹介したいとき。「引用」にはルールがあります。
- 記事の全文コピペや、本文の大部分の転載はNGです。これは引用ではなく複製になってしまいます。
- 引用として認められるには、ざっくり 「自分の文章が主役で、引用は補助」「引用部分がはっきり区別されている」「出典(引用元)を書いている」 といった条件を満たす必要があります。
- 他社の投稿を紹介したいときは、各SNSの公式のリポスト・シェア機能を使うのがいちばん安全でシンプルです。スクリーンショットを撮って自分の投稿として貼るより、機能で共有するほうが余計なリスクがありません。
「紹介したいだけ」でも、やり方ひとつで扱いが変わります。公式のシェア機能があるなら、まずそれを使うと覚えておきましょう。
4. 人の顔・映り込み(肖像権)
最後は、人が写っている写真です。ここは、権利というより相手の気持ちの問題でもあります。
- お客さまが写っている写真を載せるときは、本人の許可を取る。イベントの集合写真、店内の様子、口コミ投稿の紹介、どれも同じです。
- 社員が写る場合も、本人に一言確認します。「会社の人だから当然」ではなく、個人アカウントに転載されるのを嫌がる人もいます。
- 背景に通行人や他店の看板が大きく映り込んでいるときは、その部分をぼかす・トリミングするなどの配慮をしておくと安心です。
- イベントなどで撮影する予定があるなら、「SNSに掲載することがあります」と事前に案内しておくと、あとのやりとりがぐっと楽になります。
顔が写る投稿は、たとえ権利上グレーでも、「載せられて嫌な気持ちにならないか」を基準にすると、たいてい判断を誤りません。
具体例で見る(安心な例と、避けたい例)
言葉で説明するより、並べて見るのが早いですね。
避けたい例(許可が確認できていない)
- 検索で見つけた「いい感じの画像」を保存して、そのまま投稿に使う
- 人気の曲を動画のBGMに付けて、企業アカウントで投稿する
- 気になったニュース記事を、本文まるごとコピペして紹介する
- イベントで撮った集合写真を、写っている人へ確認せずに投稿する
安心な例(許可・出典が見えている)
- 自社で撮影した写真や、規約で商用利用OKと確認した素材だけを使う
- アプリ内の公式ライブラリで、ビジネス利用OKと確認できた楽曲を使う
- 記事は数行だけ引用し、引用部分を区別して出典リンクを添える。基本は公式のシェア機能で紹介する
- 写っている本人に「SNSに載せてもいいですか」と一言確認してから投稿する
違いは、手間をかけたかどうかではありません。「使っていい」と確認できているか、いないか。ただそれだけです。
チェックリスト(保存用・投稿前の権利確認)
全部を一度にやる前提ではありません。まずは最低ラインの3つから。
まずここだけ(最低ライン)
- 使う画像は「自社で作った・撮った」か「規約で商用利用OKと確認できた」ものか
- BGM・楽曲は、ビジネス利用で使える音源か確認したか
- 人が写る写真は、本人の許可を取ったか
できれば(落ち着いてから)
- フリー素材のクレジット表記・加工可否など、規約の条件を守っているか
- 他社記事は「引用」の形(自分の文章が主・出典明記)になっているか、または公式シェア機能を使ったか
- お客さまの投稿を紹介するときは、本人に許可を取っているか
- 背景の通行人・他店の看板など、映り込みへの配慮をしたか
- 「使っていい素材の置き場所」をチームで1つ決め、そこからだけ使うようにしたか
- 判断に迷うケースは、投稿を止めて確認する、と運用ルールに書いたか
※個別のケースが権利の侵害に当たるかどうかは、判断がむずかしいことも多いです。この記事は一般的な整理なので、最終判断は各素材・各SNSの最新の規約や、自社の法務・専門家の見解でご確認ください。
明日やるならこれ
いま下書きに入っている投稿や、これから出す予定の1本を、上の4か所(画像・音楽・引用・人物)で見てみましょう。ひとつでも「これ、確認取ってなかったかも」があれば、投稿前に止められたということ。それはもう、リスクをひとつ回避できたということです。
ルールを完璧に整えてから動く必要はありません。 今日、「使っていい素材だけを置く場所」をひとつ決められたなら、明日からの投稿は昨日よりずっと安心して出せるようになっています。ひとつずつで大丈夫です。

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