
企業SNSのトーン&マナーガイドの作り方|投稿がぶれない1枚
「この言い方、うちのアカウントとして合っているかな」。
投稿ボタンを押す前に、そんなふうに手が止まること、ありませんか。絵文字はどれくらい使っていいのか。読者への呼びかけは「皆さま」か「みなさん」か。冗談はどこまで許されるのか。ひとりで運用していると、こうした判断を毎回自分の中だけでしています。誰かに確認できるわけでもなく、正解も見えない。だから、地味に疲れます。
そんなときに効くのが「トーン&マナーガイド」です。自社のSNSがどんな言葉づかい・空気感で話すのかを、1枚にまとめておく。それだけで、投稿のたびの迷いがぐっと減ります。ここでは、ひとり運用でも無理なく作れる項目と、そのまま使えるひな形を一緒に整理していきます。
結論:トーン&マナーガイドは、立派なものを作らなくて大丈夫です。「迷ったときに見返す1枚」を目指します。
- まず「うちのアカウントはどんな人か」を一言で決める
- 語尾・絵文字・呼びかけなど「毎回迷う部分」だけルール化する
- 使う言葉・避ける言葉を、実例で数個ずつ書き出す
- 完璧を目指さず、投稿しながら少しずつ足していく
なぜ毎回、言葉選びで迷うのか
そもそも、投稿のたびに言葉選びで手が止まるのは、あなたのセンスの問題ではありません。「判断の基準が、自分の頭の中にしかない」ことが原因です。
- 「うちらしい言い方」が言葉になっておらず、毎回感覚で決めている
- 昨日の投稿と今日の投稿で、なんとなくトーンがずれてしまう
- 気分や忙しさで、丁寧だったりくだけたりして安定しない
- 担当が休むと、代わりの人が「どう書けばいいか」わからず止まる
頭の中の基準は、その日の体調や気分で揺れます。だからこそ、外に出して1枚にしておく。トーン&マナーガイドの狙いは、この「感覚でやっていること」を、見返せる言葉にしておくことです。
トーン&マナーガイドに入れる5つの項目

いきなり全部を決めようとすると、作る前に力尽きます。まずは、実際に迷いやすい次の5項目に絞りましょう。これだけで、日々の判断の8割はカバーできます。
- 人物像(キャラクター):うちのアカウントは「どんな人」か
- 語尾・文体:ですます/だ・である、かたさの度合い
- 絵文字・記号:使う・使わない、どれくらいの量か
- 呼びかけ:読者を何と呼ぶか(みなさん/お客さま など)
- 避けたい表現(NG):使わない言葉・話題
順番に、決め方を見ていきます。
1. 人物像を「一言」で決める
一番の土台は、「うちのアカウントはどんな人か」です。ここが決まると、語尾も絵文字も自然と決まってきます。難しく考えず、身近な人にたとえるのがおすすめです。
- 「親しみやすい、近所の頼れる先輩」
- 「落ち着いた、丁寧な受付担当」
- 「明るくて元気な、後輩スタッフ」
一言で言えると、迷ったときに「この人ならどう言うかな」と考えられます。中の人の人柄をどこまで出すか自体で迷ったら、「『中の人』の人柄を出す投稿と、出しすぎないラインの引き方」もあわせてどうぞ。
2. 語尾・絵文字・呼びかけは「実例」で書く
ルールは、抽象的な言葉より「実例」で書くほうが、あとで見返したときに迷いません。「丁寧に」ではなく、実際の一文で残します。
たとえば、こんな形です。
【文体】ですます調。かたすぎず、やわらかく。
○ 本日から始まりました。よかったらのぞいてみてください。
× 本日より開始いたしました。ぜひご高覧ください。
【絵文字】1投稿に1〜2個まで。文末に添える程度。
○ 今日はいい天気です☀
× 今日は😆いい天気☀ですね✨✨🎉
【呼びかけ】「みなさん」で統一。
○と×を並べておくと、判断がとても速くなります。全項目でなくていいので、迷いやすいものだけ実例を添えましょう。
3. 「避けたい表現」は炎上を防ぐ土台になる

避けたい表現をあらかじめ決めておくと、投稿前の見直しがぐっと楽になります。ここは、アカウントの空気を守るだけでなく、思わぬトラブルを未然に減らす土台にもなります。よく挙がるのは、次のようなものです。
- 断定しすぎる言い方(「絶対」「必ず」「日本一」など、根拠が要る表現)
- 政治・宗教・センシティブな社会問題への意見
- 他社・他商品を下げる言い方
- 内輪すぎて伝わらない言葉、時事ネタへの安易な便乗
とくに「絶対」「日本一」といった最上級・断定表現は、景品表示法など表示のルールにふれる場合があります。使いたいときは根拠を確認する、と1行入れておくと安心です。あわせて、投稿前に見直す観点を整理した「投稿前チェックリスト」も、このガイドと相性がよいです。
そのまま使える1枚ひな形
項目がそろったら、1枚に落とし込みます。凝ったデザインは不要です。メモアプリやスプレッドシート1枚で十分。たたき台として、次の形をコピーして使ってください。
■ 企業SNS トーン&マナーガイド(○○アカウント)
【1. 人物像】
(例:親しみやすく、丁寧な近所の先輩のような存在)
【2. 文体・語尾】
(例:ですます調。かたすぎず、やわらかく)
○ (良い一文の例)
× (避けたい一文の例)
【3. 絵文字・記号】
(例:1投稿に1〜2個まで。文末に添える程度)
【4. 呼びかけ】
(例:「みなさん」で統一)
【5. 避けたい表現・話題】
・(例:断定しすぎる言い方は根拠を確認してから)
・(例:政治・宗教・社会問題への意見)
・(例:他社を下げる言い方)
【迷ったときの合言葉】
(例:「うちの先輩なら、どう言うかな?」)
最後の「迷ったときの合言葉」が、意外と効きます。判断に詰まったとき、この一言に立ち返れるようにしておくと、ぶれずに済みます。
作ったガイドを「使い続ける」ための工夫
トーン&マナーガイドは、作って終わりにせず、手の届く場所に置いておくと効いてきます。
- 保存場所は投稿ツールのすぐ隣に(投稿のたびに開ける場所)
- 迷って決めた判断は、その場でガイドに1行足す
- 月に一度、伸びた投稿・反応の良かった言い方を反映する
- 担当が増えたら、まずこの1枚を渡して読み合わせる
ガイドは、育てるものです。最初から完璧である必要はありません。運用しながら「そういえばこれ、毎回迷うな」と気づいたことを足していけば、自分の現場に合った1枚に育っていきます。
あなたへの影響
- 投稿のたびの「この言い方でいいのかな」という迷いが減る
- 日によってトーンがぶれず、アカウントの印象が安定する
- 担当が休んでも、代わりの人が同じ空気で投稿できる
- 避けたい表現を先に決めておくことで、思わぬトラブルを減らせる
明日やること
- 「うちのアカウントはどんな人か」を、身近な人にたとえて一言で書く
- 語尾・絵文字・呼びかけの3つだけ、○×の実例で決める
- 避けたい表現・話題を3つメモする
- それを1枚にまとめ、投稿ツールのすぐ隣に置く
トーン&マナーガイド作成チェックリスト
まず作る(今日ここまで)
- アカウントの人物像を一言で書けている
- 語尾・文体を○×の実例で決めている
- 絵文字・記号の量のめやすを決めている
- 読者への呼びかけを1つに統一している
- 避けたい表現・話題を3つ以上書き出している
続けるための土台(余力があれば)
- ガイドを投稿ツールのすぐ隣に置いている
- 迷って決めた判断を、その場で足す運用にしている
- 月1回、反応の良かった言い方を反映する時間を決めている

言葉選びに迷うのは、あなたが手を抜いているからではありません。ひとりで、よりどころのないまま判断し続けているからです。だから、その基準を1枚にして外に出す。たったそれだけで、毎日の投稿はずいぶん軽くなります。今日、アカウントの人物像を一言書けたなら、もうガイドづくりは始まっています。一度に全部そろえなくて大丈夫。ひとつずつで十分です。
よければ、こちらも
「毎日の投稿、もう少し迷わず出したい」と思ったときに。企業SNS運用の実務ヒントを、メールでもお届けしています。よかったら受け取ってみてください。