
SNSのあるある投稿の作り方|業種別の切り口と共感される型
よその会社の「あるある」投稿を見て、思わず「わかる」と笑ってしまった。 よし、うちでもやってみよう。そう思って書いてみたら、社内の人にしか分からない話になったり、「月曜はつらいですよね」くらいのふわっとした話になったり。反応も、いつもと変わらない。
あの投稿と、何が違ったんだろう——。そう首をかしげた経験がある方は、きっと少なくないはずです。
あるある投稿は、センスや面白さで決まるものではありません。「誰にうなずいてほしいか」と「どの場面を切り取るか」が決まれば、どの業種でも組み立てられます。今日は、共感されるあるある投稿の型と、業種別の切り口、そして笑いにしないほうがいい線引きを、一緒に整理していきます。
結論:あるある投稿は「場面・本音・ひとこと」の3行で組み立てます。
① 最初に「誰にうなずいてほしいか」(お客様側か、同じ仕事の人か)を決める
② 場面は「いつ・どこで・何をしているとき」まで1つに絞る
③ 最後に、ちょっと役立つ小ワザか、やさしい問いかけを「ひとこと」添える
面白いことを言おうとしなくて大丈夫です。毎日の仕事の中で「またこれだ」と思った瞬間が、そのまま材料になります。
何が起きているか:あるある投稿が「外れる」3つのパターン
あるある投稿がうまく届かないとき、原因はだいたい次の3つのどれかです。
- 内輪すぎる:社内用語や、業界の人にしか分からない略語のまま書いている。書いた本人は「あるある」でも、読む人には場面が浮かびません。
- ふわっとしている:「月曜はつらい」「忙しい時期ですね」のように、誰にでも当てはまる話になっている。うなずけても、記憶には残りにくくなります。
- 誰かを笑っている:「こんなお客様、いますよね」のように、特定の立場の人を笑いのネタにしている。その立場の人が読めば、いい気持ちはしません。
あるある投稿が読まれやすいのは、「これ、自分のことだ」と感じた瞬間に、人は手を止めるからです。だからこそ、読む人が自分の姿を重ねられる場面を、具体的に切り取ることがいちばん大切です。
あるある投稿の作り方:「場面・本音・ひとこと」の3ステップ

ステップ1:誰にうなずいてほしいかを決める
あるあるには、大きく2つの向きがあります。書き始める前に、どちらにするかだけ決めておきます。
| 向き | うなずく人 | 向いている目的 |
|---|---|---|
| お客様側のあるある | 商品・サービスを使う人 | 商品やお店を身近に感じてもらう |
| 同じ仕事の人のあるある | 同業・同じ職種の人 | 採用、取引先・同業とのつながり |
BtoC(一般のお客様向け)のお店や商品なら、まずはお客様側から始めるのがおすすめです。BtoB(企業向け)の会社は、お客様の担当者が同じ職種の人なので、「総務のあるある」「工場の生産管理のあるある」のように、職種で切ると届きやすくなります。
ステップ2:場面を1つに絞る
「いつ・どこで・何をしているとき」を、1つの場面まで絞ります。
- ふわっとした例:「年末は忙しいですよね」
- 場面まで絞った例:「年末、大掃除で出てきた去年のカレンダーを、つい最後までめくって読んでしまう」
場面が具体的になるほど、読む人の頭の中に絵が浮かび、「あ、それ私だ」と感じてもらいやすくなります。社内用語や業界の略語は、ここで普通の言葉に言い換えておきます。
ステップ3:本音を書いて、最後に「ひとこと」を添える
場面の次は、そのときの心の声を書きます。「つい〜してしまう」「〜と分かっているのに」のような言い方は、うなずいてもらいやすい形です。
そして最後に、ひとことを添えます。ここが、ただの「あるある」で終わらせず、会社のアカウントらしい投稿にするところです。
- 小ワザ:「定位置を1つ決めておくと、探す時間が減りました」
- 問いかけ:「みなさんの『つい買っちゃうもの』は何ですか?」
- 商品との接点(控えめに):「そんな方のために、店頭に〇〇を置いています」
商品につなげるのは、毎回でなくて大丈夫です。むしろ、3回に1回くらいにしておくと、宣伝の印象が強くなりすぎません。問いかけの作り方は、質問・アンケート型投稿の作り方も参考になります。
具体例:業種別「あるある」の切り口
「うちの業種で何が書けるだろう」と迷ったら、次の表から近いものを選んで、自社の言葉に置き換えてみてください。
| 業種 | お客様側のあるある | 同じ仕事の人のあるある |
|---|---|---|
| 飲食店 | メニューを見て悩んだ末、結局いつもと同じものを頼む | 仕込みの途中で、今日の予約表を何度も見返してしまう |
| 雑貨・小売店 | 家にあるはずの文房具が見つからず、また買ってしまう | 季節の入れ替えで、ディスプレイを決めるのに一番時間がかかる |
| 美容室・サロン | 「前回と同じ感じで」と言いかけて、前回がどうだったか思い出せない | 雨の日の朝は、まず湿気の具合を確かめてしまう |
| 製造業(BtoB) | 見積もりを頼むとき、図面のどこまで送ればいいか迷う | 段取り替えが予定どおり終わった日は、ちょっとうれしい |
| 不動産・住まい | 内見で、収納の中より窓からの眺めを先に見てしまう | 物件の写真は、晴れの日を待って撮り直したくなる |
| IT・SaaS | 新しいツールを入れたのに、結局エクセルにも転記している | 「急ぎで」の依頼が、なぜか金曜の夕方に重なる |
これを「場面・本音・ひとこと」に当てはめると、たとえばこうなります。
【雑貨店・お客様側】
家にボールペンが何本もあるはずなのに、使いたいときに限って見つからない。(場面)
だから、ついまた買ってしまう。(本音)
机の上にペン立てを1つ置いて「ペンの定位置」にしたら、探す時間が減りました。みなさんの「なぜか消える文房具」は何ですか?(ひとこと)
【美容室・お客様側】
予約の電話で「前回と同じ感じで」と言いかけて、前回がどんな髪型だったか思い出せない。(場面)
担当さんが覚えていてくれるかな、と少しドキドキする。(本音)
仕上がったときにスマホで1枚撮っておくと、次の相談がとても楽になります。もちろん、カルテでもお控えしていますのでご安心ください。(ひとこと)
【製造業・同じ仕事の人】
段取り替えが予定どおりの時間で終わった日。(場面)
誰にも言わないけれど、心の中で小さくガッツポーズをしている。(本音)
現場のみなさん、今日もおつかれさまです。みなさんの「小さくうれしい瞬間」も、ぜひ教えてください。(ひとこと)
ネタの探し方そのものに迷ったら、業種別・企業SNS投稿ネタお題集や、投稿ネタの「引き出し」30パターンとあわせて使うと、切り口が広がります。
あるある投稿の線引き:笑っていいのは「場面」まで
あるある投稿は、読む人との距離を縮めてくれる一方で、言い方ひとつで誰かを置き去りにしてしまうことがあります。次の線を意識しておくと安心です。
- お客様を笑わない:「こんな注文をするお客様」「値切ってくる人あるある」など、お客様の行動をネタにするのはやめておきます。書く側に悪気がなくても、読んだお客様は「自分も笑われているのかも」と感じます。お客様側のあるあるは、お客様自身がうなずける目線で書きます。
- 同業他社や職種を下げない:「〇〇業界の人って〜」「営業はいつも〜」のような決めつけは、その立場の人を傷つけることがあります。
- 人の属性を笑わない:年齢・性別・体型・出身など、本人が変えられないことをあるあるにしない。詳しくは企業SNSの表現チェックにまとめています。
- 愚痴に寄せすぎない:同じ仕事の人のあるあるは、「大変」「つらい」だけで終わると、お客様や応募者が読んだときに不安を感じます。最後は「おつかれさまです」「小さくうれしい」のように、前向きなひとことで締めます。
迷ったら、「この投稿を、登場する立場の人が読んでも笑顔でいられるか」を一度だけ考えてみてください。それで引っかかるところがなければ、たいていは大丈夫です。投稿前の確認全体は、企業SNS投稿前チェックリストで整理できます。
あなたへの影響
- 「今日は書くことがない」という日にも、毎日の仕事の中から1本作れるようになる。
- 商品の説明だけでは伝わらなかった、お店や会社の「人らしさ」が伝わりやすくなる。
- 問いかけで締めると、コメントで返してもらえるきっかけが生まれる。
- 線引きを決めておくことで、「これ、笑いにしていいのかな」と迷う時間が減る。
明日やること(10分でできる範囲)
- 今週の仕事の中で「またこれだ」と思った瞬間を、3つメモに書き出す。
- そのうち1つを選び、「お客様側」か「同じ仕事の人」か、向きを決める。
- 「場面・本音・ひとこと」の3行で下書きを作る。場面は「いつ・どこで・何をしているとき」まで絞る。
- 下書きを、社外の人の目線で読み返す。社内用語が残っていたら、普通の言葉に言い換える。
最初の1本は、お客様側のあるあるがいちばん書きやすいです。笑いを取ろうとしなくて大丈夫。「わかる」と思ってもらえたら、それで十分です。
チェックリスト
- 書く前に
- 誰にうなずいてほしいか(お客様側/同じ仕事の人)を決めた
- 場面を「いつ・どこで・何をしているとき」まで1つに絞った
- 書くとき
- 「場面・本音・ひとこと」の3つがそろっている
- 社内用語・業界の略語を、普通の言葉に言い換えた
- 最後のひとことは、小ワザか問いかけになっている(宣伝は控えめに)
- 出す前に
- お客様・同業・特定の職種を笑いのネタにしていない
- 年齢・性別・体型など、人の属性を笑っていない
- 愚痴だけで終わらず、前向きなひとことで締めている
全部を毎回でなくて大丈夫です。まずは太字の3つから。
最後に
「あるある」が書けるのは、あなたが毎日、お客様や仕事の現場をちゃんと見ているからです。何気なく通り過ぎている「またこれだ」の瞬間は、実はアカウントにとって、いちばん身近で、いちばん伝わりやすい材料です。
明日、仕事の合間に「あ、これあるある」と思ったら、スマホのメモに1行だけ残してみましょう。それが、次の投稿の書き出しになります。

よければ、こちらも
- 業種別・企業SNS投稿ネタお題集|迷ったら上から引くリスト:あるある以外のお題も業種別に探したいときに
- 企業SNSの投稿ネタ一覧|尽きたときの「ネタの引き出し」30パターン:ネタの型そのものを増やしたいときに
- 反応が伸びる投稿文の書き方|型・言い回し・例文テンプレ集:書き出しの1行や締めの言い回しを磨きたいときに
- 質問・アンケート型投稿でコメントを引き出す作り方|例文と手順:あるあるの最後を問いかけにしたいときに
- 企業SNSの失敗談投稿の作り方|中の人の「やらかし」を学びに変える型:中の人自身の体験から投稿を作りたいときに
- 企業SNSの表現チェック|差別・ジェンダーで配慮したい言い回し:笑いや冗談の言い回しに迷ったときに
企業SNS運用の実務ヒントを、メールでも少しずつお届けしています。ひとりで抱え込まず、続けられる運用を一緒に作っていきましょう。