
SNSの問い合わせを営業・サポートへ引き継ぐ社内ルール|取りこぼさない4手順
「見積もりってお願いできますか?」「届いた商品の部品が足りないみたいです」——SNSのDMに、そんなメッセージが届く。 自分では答えられないから、とりあえず社内チャットに貼って「どなたかお願いします」。 ……数日後、同じお客様から「まだですか?」とコメントが来て、ひやっとする。
その気持ち、とてもよく分かります。SNS担当は、問い合わせ窓口として決められた場所ではないのに、いつのまにか窓口になっていることが多い仕事です。取りこぼしが起きるのは、あなたの注意が足りないからではなく、渡し方のルールがまだないからです。
今日は、SNSに来た問い合わせを営業やサポートへ引き継ぐ社内ルールを、4つのステップで一緒に作っていきます。
結論:SNSに届いた問い合わせは、次の4ステップで流すと取りこぼしが減ります。
① 仕分け:「自分で答える」「引き継ぐ」「相談する」の3つに分ける
② 受付:引き継ぐものは、まずお客様に「確認してご連絡します」と受付の返信をする
③ 引き継ぎ:決まった渡し先へ、5項目の「引き継ぎメモ」で渡す
④ 完了確認:お客様に返事が届いたかを、一覧で確かめて閉じる
最初から全部そろえなくて大丈夫です。まずは「引き継ぎメモ」の形を決めるだけでも、ぐっと楽になります。
何が起きているか:SNSの問い合わせが取りこぼされやすい理由
問い合わせフォームや電話には、たいてい受け付ける部署と手順があります。でもSNSは「広報の発信の場」として始まることが多く、届いた問い合わせをどこへ渡すかが決まっていないことがよくあります。
取りこぼしが起きるのは、たいてい次のどこかです。
- 渡し先があいまい:「営業かな?サポートかな?」と迷っているうちに時間がたつ
- 渡し方があいまい:チャットに原文だけ貼って、誰が受け取ったのか分からない
- お客様への連絡が止まる:社内で確認しているあいだ、お客様には何も届いていない
- 最後が見えない:引き継いだあと、返事をしたのかどうかをSNS担当が知らない
つまり、困りごとは「答えられないこと」ではなく、渡したあとが見えないことです。ここを仕組みで見えるようにすれば、SNS担当がすべてを抱える必要はなくなります。
ステップ1「仕分け」:3つのどれかに分ける
届いたメッセージを読んだら、まず次の3つのどれかに分けます。迷う時間をなくすための仕分けなので、ざっくりで大丈夫です。
| 仕分け | どんな内容か | 例 |
|---|---|---|
| 自分で答える | 公式サイトや公開済みの情報で答えられる | 営業時間、店舗の場所、公開中のキャンペーンの期間 |
| 引き継ぐ | 担当部署でないと正しく答えられない | 見積もり・購入の相談(営業)、不具合・使い方・注文状況(サポート)、取材・採用(各担当) |
| 相談する | 強い不満、法的な話、判断に迷う内容 | 「返金しないなら訴える」、事故やけがの連絡、報道関係の厳しい問い合わせ |
ポイントは、「相談する」を別にしておくことです。強い不満や判断に迷う内容を、そのまま担当部署へ流すと、対応の方針が決まらないまま返事が出てしまうことがあります。ここは上司や広報の責任者に先に相談します。連絡の順番は企業SNSの緊急時連絡体制|すぐ連絡が回る仕組みの作り方で決めておくと迷いません。
「自分で答える」ものへの返し方は、企業SNSコメント・DM対応ルール|迷わない返信テンプレの作り方のテンプレがそのまま使えます。
ステップ2「受付」:まず「確認してご連絡します」と返す
引き継ぐと決めたら、社内に渡す前に、お客様へ受付の返信をひとこと送ります。お客様がいちばん不安なのは「読まれたのかどうか分からない」状態です。
コピーして使える受付の返信例です。
お問い合わせありがとうございます。担当部署に確認のうえ、◯営業日以内にご連絡いたします。少しお時間をいただけますと幸いです。
公開のコメントで問い合わせが来た場合は、注文番号や連絡先などをコメント欄に書いてもらわないように、DMか公式の問い合わせ窓口へご案内します。
ご連絡ありがとうございます。お手数ですが、詳しい状況はDM(または公式サイトのお問い合わせフォーム)からお知らせいただけますでしょうか。担当部署よりご案内いたします。
「◯営業日以内」は、担当部署と相談して、守れる日数を入れてください。約束より早く返せるのはうれしい驚きになりますが、約束を過ぎると不安に変わります。夜間や休日に届いたものをどう扱うかは、企業SNSの夜間・休日対応|どこまでやるかの線引きと決め方もあわせてどうぞ。
ステップ3「引き継ぎ」:5項目のメモで、決まった渡し先へ

ここがルールの中心です。決めることは2つだけ。どこへ渡すかと、何を書いて渡すかです。
渡し先を「内容ごとに1か所」決めておく
「営業部の誰か」ではなく、受け取る場所を1か所に決めます。担当者個人ではなく、チャットのチャンネルや共有の受付窓口のように、休みの日があっても誰かが見ている場所がおすすめです。
| 問い合わせの内容 | 渡し先(例) | お客様への返事をするのは |
|---|---|---|
| 見積もり・購入の相談 | 営業部の受付チャンネル | 営業担当(メール・電話) |
| 不具合・使い方・注文状況 | サポート窓口の共有アドレス | サポート担当 |
| 取材・採用・その他 | 各担当部署の窓口 | 各担当部署 |
右の列の「お客様への返事をするのは誰か」も、必ず一緒に決めておきます。SNS担当が代わりにDMで返すのか、担当部署がメールや電話で直接連絡するのか。ここがあいまいだと、「向こうが返すと思っていた」がお互いに起きてしまいます。
引き継ぎメモは5項目だけ
渡すときは、原文を貼るだけでなく、次の5項目をそろえます。コピーしてチャットや共有シートに貼れる形にしておくと、毎回考えずに済みます。
【SNS問い合わせ 引き継ぎ】
1. 受け付けた日時と場所:10/22 14:05/Instagram DM
2. お客様のアカウント名:@◯◯◯◯(本名や連絡先はDMの中で確認)
3. 内容の要約:法人向けに30個の見積もりがほしい。納期は来月中旬希望
4. 原文:DM画面のスクリーンショットを添付
5. 受付の返信:済み(「3営業日以内にご連絡」と案内)→ 返事の期限 10/27
とくに大事なのは 5番の「受付の返信をしたか」と「返事の期限」 です。担当部署は、これを見て「いつまでに、誰に返せばいいか」がすぐ分かります。
お客様の連絡先や注文番号などの個人情報は、社内で決められた個人情報の扱いのルールに沿って、必要な人にだけ共有します。全社員が見られるチャンネルや個人のスマホのメモに残さない、という一言をルールに入れておくと安心です。
ステップ4「完了確認」:返事が届いたかを確かめて閉じる
最後のステップは、引き継いだあと、お客様に返事が届いたかを確かめることです。ここがあると、SNS担当の「あれ、どうなったかな」というモヤモヤがなくなります。
やり方はシンプルです。共有シートに1行ずつ記録して、状態の列を「受付済み → 引き継ぎ済み → 完了」と更新していきます。
| 受付日 | SNS | 内容 | 渡し先 | 期限 | 状態 |
|---|---|---|---|---|---|
| 10/22 | Instagram DM | 法人向け見積もり | 営業 | 10/27 | 引き継ぎ済み |
| 10/22 | X コメント | 部品不足の連絡 | サポート | 10/24 | 完了 |
担当部署には「お客様に連絡したら、この列を『完了』にしてください」とだけお願いします。そして週に1回、5分だけ、完了になっていない行を見ます。期限を過ぎた行があれば、担当部署にひとこと声をかけるだけで十分です。
具体例:月12件の問い合わせを4ステップで流してみる
ある雑貨メーカーのSNS担当者が、ある月に受け取った問い合わせ12件を、このルールで流してみた例です。
| 仕分け | 件数 | その後 |
|---|---|---|
| 自分で答える | 5件 | テンプレで当日中に返信 |
| 引き継ぐ | 6件 | 営業4件・サポート2件。受付の返信をしてから引き継ぎメモで渡す |
| 相談する | 1件 | 強い不満の連絡。上司に共有し、方針を決めてからサポートが対応 |
| 合計 | 12件 | 5 + 6 + 1 = 12件 |
以前は、引き継ぐ問い合わせを社内チャットに原文だけ貼っていて、「まだですか?」と催促が来ることがありました。ルールにしてからは、週1回の完了確認で期限が近い1件に気づき、営業担当に声をかけて期限内に連絡できました。
この担当者がいちばん変わったと感じたのは、数字よりも気持ちのほうでした。「渡したあとを知らない」状態がなくなり、SNSの問い合わせを、ひとりで抱え込まなくてよくなったのです。
あなたへの影響
- 「誰に渡せばいい?」と迷う時間が減り、受付の返信までが早くなる。
- お客様に「読まれている」ことが伝わり、催促や不安のコメントが起きにくくなる。
- 引き継いだあとが一覧で見えるので、取りこぼしに早く気づける。
- 営業やサポートにとっても、5項目がそろったメモは対応しやすく、SNSが「お客様とつながる入口」として社内で認められるきっかけになる。
SNSから生まれた商談や問い合わせの数を残しておくと、上司への報告にも使えます。まとめ方はSNSの成果を上司に伝える報告の組み立て方|数字を成果の言葉にが参考になります。
明日やること(15分でできる範囲)
- 最近1か月のDMやコメントを見返し、「自分で答える・引き継ぐ・相談する」に分けてみる。
- 「引き継ぐ」の内容ごとに、渡し先とお客様へ返事をする人を、表に1行ずつ書く。
- 上の引き継ぎメモ5項目を、チャットや共有シートに貼れる形で保存する。
- 営業・サポートの担当者に、「SNSの問い合わせはこの形でここに渡します。返したら『完了』にしてください」と一声かける。
いきなり全部門と調整しなくても大丈夫です。まずはいちばん問い合わせが多い部署ひとつと決めるだけで、ルールは動き出します。
SNS問い合わせの引き継ぎチェックリスト
- 仕分け
- 届いた問い合わせを「自分で答える・引き継ぐ・相談する」に分けた
- 強い不満や判断に迷う内容は、上司・責任者に先に相談するようにした
- 受付
- 引き継ぐ前に、お客様へ受付の返信を送った
- 返事の日数は、担当部署と相談して守れる日数にした
- 公開のコメントで個人情報を書いてもらわないよう、DMや窓口へ案内した
- 引き継ぎ
- 内容ごとに、渡し先を1か所に決めた
- お客様へ返事をするのは誰か(SNS担当か担当部署か)を決めた
- 引き継ぎメモの5項目(日時と場所・アカウント名・要約・原文・受付の返信と期限)をそろえて渡した
- 個人情報は社内ルールに沿って、必要な人にだけ共有した
- 完了確認
- 共有シートの状態を「受付済み → 引き継ぎ済み → 完了」で更新している
- 週1回、完了になっていない行と期限を確認している
全部を毎回でなくて大丈夫です。まずは太字の3つから。
最後に
SNSに届く問い合わせは、お客様が「この会社に聞いてみよう」と思ってくれた証です。それを全部ひとりで答える必要はありません。SNS担当の仕事は、その声を、ちゃんと答えられる人のところへ、確かに届けること。それだけで、立派な窓口の役割を果たしています。
今日はまず、引き継ぎメモの5項目をひとつ保存しておきましょう。次に「これは誰に?」と迷ったとき、そのメモがあなたの手を軽くしてくれるはずです。

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